医院名:世田谷通り おおさわ眼科
住所:〒156-0054 世田谷区桜丘3-26-4 2階
TEL:03‐3429‐1010

網膜の病気

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症糖尿病には合併症がいくつもありますが、糖尿病腎症、糖尿病神経症とともに三大合併症と呼ばれているのが糖尿病網膜症です。
糖尿病の影響で網膜の組織がダメージを受け、視力が低下します。糖尿病は、血糖値の上昇が続く生活習慣病で、毛細血管に大きな負担をかけ続けます。眼の網膜には細かい毛細血管が縦横に走っているため、高血糖の悪影響を受けやすい場所であり、血管が詰まる・出血するなどを起こしやすいのです。また、詰まって血管が機能しなくなると酸素や栄養素が不足するため、新生血管というもろい血管を作ってより出血を起こしやすくなり、視力の大幅な低下を招きます。
糖尿病と診断されたら半年に一度程度は眼科の検診を受ける必要があり、それで早期発見と適切な治療を受ければ糖尿病網膜症の進行を止めることができます。ただし、眼科検診を定期的に受ける方が少なく、日本の中途失明原因では糖尿病網膜症が上位にあります。

糖尿病網膜症の進行

糖尿病網膜症は、進行状態によって3段階に分けられ、治療法も異なります。なお、視力に大きな影響を与える「糖尿病黄斑浮腫」は、3段階すべてで現れる可能性があります。

単純糖尿病網膜症(初期)

血糖コントロールで改善できることもありますが、自覚症状がほとんどないため、定期的な眼科検診を受けることが重要です。網膜の血管壁が盛り上がる血管瘤、小さな出血を起こしている程度であり、血管から血液成分が漏れている状態です。

増殖前糖尿病網膜症(中期)

網膜の血管が広範囲に閉塞している状態です。酸素や栄養素が行きわたらなくなるため、新生血管というもろく破れやすい血管ができ始めます。かすみ目などの自覚症状があることもありますが、全く症状が現れないケースもあります。できるだけ早く適切な治療を受けることで進行を止める必要があります。

増殖糖尿病網膜症(進行期)

新生血管が破れて硝子体出血を起こし、飛蚊症や急劇な視力低下を起こすことがあります。繊維状の膜である増殖組織が網膜を引っ張って網膜剥離を起こすと、視野を大きく欠損させてしまうこともあります。視力を少しでも残すために、できるだけ早く手術などを受ける必要がある状態です。

糖尿病黄斑浮腫

網膜中心部には、黄斑というものを注視する際に用いられる場所があります。糖尿病黄斑浮腫は糖尿病の高血糖によって黄斑がむくむ病気で、視界がぼやける、注視するものがゆがむ、暗く見えるなどが起こります。糖尿病の合併症以外でも黄斑浮腫が起こることがあります。特に、ぶどう膜炎や網膜静脈閉塞症などがあると網膜や黄斑のむくみを起こしやすく、発症リスクが上がります。むくみが続くと黄斑の神経が障害を受けて視力や視野に障害が現れます。

当院の治療

糖尿病の診断を受けたら、必ず半年に1度の頻度で眼科検診を受けてください。初期に発見できれば食事や運動などによる血糖コントロールで進行を抑えることも可能です。それ以上に進行してしまった場合は、レーザーによる網膜光凝固術で新生血管の発生を抑制します。さらに進行して硝子体出血や網膜剥離、黄斑部の牽引などが確認された場合には、硝子体手術が必要になります。外科的治療が必要な場合は提携病院へご紹介させていただきます。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性黄斑は網膜の中心にあって、ものを注視する際に用いる重要な場所です。ここに大きなダメージを受けてしまうと光の明暗はある程度わかっても文字が読めなくなるなど大きな支障を生じます。加齢黄斑変性は、加齢によるダメージの蓄積で黄斑が変化して視力を低下させ、ものがゆがむ、視野中心が暗くなる、視野中心が欠けるなどの症状を起こします。緑内障や糖尿病網膜症と共に失明リスクのある怖い病気です。

加齢黄斑変性の種類

萎縮型

黄斑の組織が加齢に伴って萎縮していきます。進行はとてもゆっくりで、急激な視力低下を起こすことはありません。

滲出型

網膜のすぐ下にもろい新生血管ができて、この血管が破れるなどして黄斑にダメージを与えます。新生血管は壊れやすく、血液成分を漏らしたり、出血を起こしやすいため、それにより黄斑がダメージを受けるのがこのタイプです。

当院の治療

萎縮型はとてもゆっくり進行しますので経過観察は必要ですが、積極的な治療は行いません。滲出型では、新生血管の増殖を抑制するために薬剤を注射する抗VEGF療法を行います。注射治療なので入院の必要はありませんが、何度も受ける必要があります。他に、新生血管をレーザーで焼灼する光凝固術で出血や水分の漏出を解消させることもあります。ただし、レーザーによる光凝固術では周辺組織がある程度一緒に焼かれるため、視野の欠けなどが残ります。注射治療やレーザー治療が必要な場合は提携病院へ紹介させていただきます。

網膜剥離

網膜剥離眼の奥にある網膜が剥がれてしまう病気です。剥がれた部分は視覚情報を得られなくなるため、その部分の視野が欠損します。加齢や糖尿病網膜症、事故やケガなどによって起こることもあります。網膜が裂けて、そこから剥がれていきます。眼球内には硝子体というゲル状の液体で満たされていますが、これが網膜の一部を引っ張ってしまい、それがきっかけとなって網膜剥離を起こすこともあります。事故や激しいスポーツなどにより20代に、加齢によって50代にそれぞれ多い傾向があります。

当院の治療

網膜剥離の治療が必要な場合は、対応施設へ紹介させていただいています。

裂け目がある場合

網膜にできた裂け目は、レーザーによる治療を行い、剥がれにくくできます。瞳孔から網膜の裂け目にレーザーを照射して焼灼し、裂け目の周囲とその下の組織をしっかり固定する治療です。

網膜が剥がれている場合

すでに網膜剥離があるケースでは、剥がれた網膜をもとに戻して固定する治療が必要です。網膜の状態によって硝子体手術や強膜バックリング法などから、適した治療を選択します。

網膜静脈閉塞

網膜の静脈は、糖尿病以外にも、高血圧や動脈硬化の悪影響を受けて血管が詰まることがあります。網膜静脈閉塞は、詰まった部分から血液があふれ出て、その先に酸素や栄養素が届かなくなります。静脈のどの部分に閉塞が起こるかによって病状は大きく変わります。静脈の根本が閉塞した網膜中心静脈閉塞症、枝分かれした部分が閉塞した網膜静脈分枝閉塞症に分けられ、網膜中心静脈閉塞症の方がより深刻な症状を起こしやすくなっています。
症状には視力低下、ものがゆがむなどがあり、進行するともろい新生血管が作られて出血を起こし、硝子体出血や網膜剥離を起こす可能性もあります。

当院の治療

静脈閉塞症は、症状や程度、起こった場所などによって必要とされる治療は変わってきます。血管を拡張させる薬、血管壁を強くする薬、出血や浮腫の吸収を促す薬などの薬物療法で改善する場合もありますし、レーザーによる光凝固法、硝子体注射、硝子体手術などが必要になるケースもあります。硝子体注射やレーザー治療、手術が必要な場合は提携病院へ紹介させていただきます。

中心性漿液性脈絡網膜症

中心性漿液性脈絡網膜症は、網膜の下から水が漏れ、それによって網膜中心にある黄斑に水がたまります。軽度の視力低下の他、ゆがんで見える、小さく見える、視野中心が暗くなるなどの症状を起こすことがあります。片眼だけに起こすことがほとんどで、30~50歳代の男性に多くなっています。睡眠不足や過労などによるストレスが発症に関与されていると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。

当院の治療

2~3ヶ月で自然治癒するケースもありますが、循環改善薬やビタミン剤などの内服の効果が期待できることがありますし、他の眼疾患との鑑別のためにも受診は重要です。早期の回復には、眼の酷使をしないように注意して、ストレスをためないようにするよう心がけましょう。再発することが多く、回復が思わしくない場合、レーザー治療を検討することがあります。ただし、レーザー治療は、病変が黄斑など網膜中心から離れた場所にある場合にのみ可能です。その場合は提携病院へご紹介させていただきます。

電話番号03‐3429‐1010
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